白い馬の季節
変わりゆくモンゴルの大草原、失われゆく伝統文化
時代の奔流のなかで誇りを胸に生きる家族の運命を描いた珠玉の名作!
◆あらすじ
原題 季風中的馬
制作国 中国
制作年 2005年
時間 105分
受賞
第25回ハワイ国際映画祭NETPAC Award(最優秀アジア映画賞)
第26回ダーバン国際映画祭最優秀撮影賞(ジョン・リン)
キャスト
寧才(ニンツァイ)、娜仁花(ナーレンホア)、
常蘭天(チャン・ランティエン)
製作 娜仁花(ナーレンホア)、霍秉華(フォ・ピンホア)
監督・脚本 寧才(ニンツァイ)
撮影 林良忠(ジョン・リン)
©中国電影集団公司
干ばつが続き、砂漠化しつつある内モンゴルの草原。そこに住む遊牧民・ウルゲンは、息子の学費が払えないほど生活に窮していた。牧草は枯れ、毎日のように餓死する羊が出る。妻のインドジマーは、年老いた白馬・サーラルを売り、町で暮らすほかないと考えていたが、ウルゲンは決心がつけられずにいるのだった。親戚からも、幼馴染みからも援助を断られたうえ、放牧地をめぐるトラブルから暴力沙汰を起こした後に、罰金の支払いが命じられる。泣く泣く愛馬を売りに出し、妻は様々に自活する術を模索し始めていた。そんななか、サーラルがいかがわしい見世物に使われているのを目の当たりにしたウルゲンが、またもや大立ち回りを演じ・・・。
◆主演、脚本、監督を務めたニンツァイの監督処女作
主演、脚本に加え、初の監督業にも挑戦したのは、「天上草原」で中国のアカデミー賞として名高い金鶏奨最優秀主演男優賞の受賞歴をもつ名優 ニンツァイ。主人公の妻を演じるのは、プライベートでもニンツァイのパートナーである女優 ナーレンホア。また、台湾出身のカメラマン ジョン・リンは本作でダーバン国際映画祭 最優秀撮影賞を受賞。
◆変わりゆく時代、廃れゆくもの・・・心を揺さぶる傑作
変革の時代を迎えながら、それに対処する術を持たない主人公ウルゲンの人物像、彼に突きつけられる非常な現実とやるせない出来事の数々、そして寂寥感溢れる印象的なラストシーン。かつてのアメリカン・ニューシネマやATG映画に満ちていた、去りゆくもの、滅びゆくものへの哀惜が観る者の心を揺さぶる傑作。